母岩底面の白色脈が本鉱。

布賀石 Fukalite

Ca4Si2O6(CO3)(OH, F)2  珪酸塩鉱物(分類未決定) 斜方晶系

論文著者 逸見千代子・草地功・河原昭・逸見吉之助

掲載論文 Mineralogical Journal, 8, 374-381, (1977).

布賀石は、酸基・水酸基・フッ素を含むカルシウムから成る珪酸塩鉱物。スカルン鉱物の変質物あるいは後退生成物として、フォシャグ石・珪灰石・蛍石・ゲーレン石・灰チタン石・灰礬柘榴石・加水柘榴石)・ベスブ石・モンチセリ石に伴って産する。白色ガラス光沢を成し、顕微鏡下では葉片状結晶をしているのがわかる。逸見らがMineralogical Journalに報告した原記載論文では、岡山県布賀の他に岡山県後月郡芳井町三原鉱山と広島県比婆郡東城町久代からの産出が報告されている。布賀石は1977年、岡山大学の逸見千代子・草地功・河原昭・逸見吉之助によって日本鉱物学会の発行するMineralogical Journalに報告された新鉱物で、布賀で発見された新鉱物としては1973年に報告された備中石に次ぐ2番目のものである。鉱物名は発見された産地の地名にちなむ。逸見吉之助は布賀石の発見により197867日に櫻井賞(第15号メダル)を受賞した。逸見吉之助の二女である岡山大学理学部の逸見千代子は、すでに1973年に発表した備中石の発見で1976年に櫻井賞(第13号メダル)を受賞しているので、親子で櫻井賞を受賞したのである。櫻井賞の表彰が始まった1973年から2000年までの間に34人の研究者が櫻井賞を受賞しているが、親子で櫻井賞を受賞したのは逸見吉之助・千代子だけである。