津山市新田

　㈱大崎瓦工場拡張工事中採取、現在ここは絶産であるが、東１ｋｍの池ヶ原地内で採取可能。

新種マーク。

Medorippe　tanabei　　　　　　　　　　　　　　　　Karasawa
タナベ　ヘイケガニ
甲羅の大きさ　約１ｃｍ

タナベ　ヘイケガニとの出会い。
２０００年４月、数十種の第三紀中新世備北層群産出の化石を田口栄次先生に鑑定依頼した折り、数種の甲殻類の内２～３点に限り、田口先生所有の論文等の文献に照らし合わせても、確信の持てる答えが頂けなかった。ところが、しばしの沈黙を破る様に田口先生はあの学者特有の鋭い目付きと確信に似た笑みを浮かべながら「その道の専門家に見て頂く事が一番良い、これはひょっとして柄沢宏明博士も喜んで頂けるかも知れないよ。大至急に瑞浪化石博物館の柄沢先生に送りなさい。」と勧められた。私としては、当初の鑑定と言う全く軽い気持ちで有ったにもかかわらず目的外の事態と成り、私自身、訳の分からないまま唯、先生の言われるがままに瑞浪の柄沢先生の元へ郵送する事と成った。
それからほんの数日も経たないある日突然、柄沢先生より「今回送って頂いたカニの化石はまず100％間違い無く新種であり、しかも大変珍しいものだ、早速論文発表の準備をしましょう。」との連絡を頂き、その時程今まで化石をやってきて驚いた日は無かった良かったと、今しみじみ思う。
結果、２０００年１１月、津山市新田産のカニ化石が世界新種として学会へ記載されたのである。
しかも日本のカニ・エビ化石に関しては調べ尽くされ、甲殻類の大家とも言われている、瑞浪市化石博物館の柄沢宏明博士の手によって、新種発表されたのであるから、それだけでもだけでも凄い出来事で有るにもかかわらず、なんとアメリカワシントンの、国際的な古生物学会機関から発表され世界中に報告されたのである。
田口・柄沢両先生には「感謝」の一言でしか言葉が有りませんし今の気持ちを言葉に代えれば「化石、本当に今日の日までやっててよかった！！」との思いと、今日まで続けて来た自分自身がやっと報われた様な気持ちに成ったのある。